JR京橋駅での出来事

「こうでなきゃいけない」なんてことはないんだよ、と周囲の人に教えられては気づかされる。
当たり前だけど、一人では生きていけないとその度に思う。

何をするにも「どうしたらいいか」じゃなくて私が「どうしたいか」を気にしてくれる友人や先輩がいるのがいつも凄く心強い、俯いてる場合じゃなかったです。






この間、JR京橋駅で目の見えない男性が白杖をついて歩いていて、サラリーマンの人とぶつかって、すごいあたふたしていて見ていられなかった。
その場にいた人も皆注目していた。

すぐ側のホームに並んだ列の先頭にも、同じ白杖を持った人が電車を待っているのを見て、何というか自分の当たり前が誰かにとって当たり前じゃないことを、それこそ当たり前なんだけれど、思って怖くなった。
珍しいことじゃない。この人はもしかしたら頻繁にこんな思いをしているのかもしれない。





サラリーマンの人はそのまま立ち去ってしまったけど、
声をかけて、自分でもびっくりするくらいしっかりと男性の手を握ってしまった。
少し汗ばんでいたかもしれない。でもその人の手は、屋根しかない夏のホームなのに凄く冷えていた。


一番後ろの車両の列まで連れて行ってほしいと言われ、それすら自分の体を動かすのとはわけが違ってすごく難しかった。人波を、私は自分で避けられるけどその人は避けられないから。



最近読んだ小説で、似たようなシーンがあった。
それを読んでいなかったら私はどんなふうに声をかけたらいいのかも分からなかっただろう。きっと同じようにあたふたして、何も出来なかった。


こんな自分を変えたいとかそんなことよりも、まず目の前にいる人を見る、それだけで自然に振る舞うことが出来るはず。頭では分かっている。




遠い親戚に、視力を完全に失ってしまったおじさんがいる。
視力の代わりに聴力が発達されていて、小さい頃、恥ずかしがり屋だった私の誰も聞き取れない蚊の鳴くような声を全部拾ってくれた人。
当時の私にとって光みたいな存在だった。ことを思い出した。
今はどこでどうしているのか、気になった。











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