あとがき
その時、時間をかけてずっと読んでいた、吉本ばななの「アムリタ」という小説の中で
『明日もどこかで目覚めよう』という主人公の言葉に感銘を受けて思いついたものです。
アルバムのリリースツアーファイナルも兼ねた活動十周年記念のワンマンライブでは、全てを出し切れたかというと正直悔しい部分の方が多くて、私の音楽を信じてくれて聴きに来てくれたお客さんがいるのにそんなことを口にするのは気が引けたけど
吉本ばななも初期の作品の新装版あとがきで、あまり気に入ってないようなことを書かれていたことを思い出して、ついこんなことを吐露します。
噛み締めたい瞬間がいくつもあったのに歌いながら何度も逃げ出したくなって情けなくなってしまったけど、当日までずっと一緒に準備してくれたチームの仲間や、私の音楽が好きだと言ってくれた人の顔を思い浮かべては、正気に戻る瞬間が何度もありました。
今の自分の限界を確認して、次のステージへ向かう準備をここからまた始めるために、文章に認めることを選びました。
アムリタは神様が飲む甘い水のことで、人生は水をごくごくと飲むようなもの、飲まなきゃ生きていけないのという言葉に
嬉しいことを目一杯喜んで、悲しいことを目一杯悲しむ勇気みたいなものが臆病者な自分の中に生まれたことで（読書感想文とか苦手なタイプなので、ぜひ小説を読んでみてほしいのですが）、
上下巻に分かれた作品を読み終わる前から「新しいアルバムの名前は絶対これがいい」と”AMRTA“というタイトルを付けました。
うたた寝をするような微睡みに脳みそが引っ張られている感覚が常にあって、ぼーっとしているので良くも悪くも感情が一定なのですが（実際は臆病者で様々なことに対する恐れを無意識に麻痺させているという見解）
美しい自然を目にした時や人の優しさに触れた時、ときめきに視界が開ける瞬間があって
その時に生まれる、明日もこの世界に生き続けたいという希望が、小説の中の話し言葉として、世界で初めて自分の耳に届いたような気がしてこの感動を、ときめきを私も誰かにもたらしたいと思った。
次のイベントタイトルは“Hype’s in My Mind“です。
いろんな思いを込めた名前です。今年一年を通してやってきたイベントで、得た感情をより生々しく表現していくこと、来年は聴いてくれる人の心を動かせるような音楽を目標に頑張っていきたいです。
英語のとても面白いところが、日本語に訳す時に、原文には無い単語まで翻訳されるのが創造的で素敵だなと思います。
ツーマンライブなので、敬愛してやまない人をお呼びするわけですが、昔の私ならこてんぱんにしてくださいとかって言いそうなもんですが
今の自分なら、愛をもって返せるんじゃないかと信じています。
聴きに来てくれた人も、歌いに来てくれた人のことも、海のように全てを包み込めるような空間を作りたい。
新曲を配信リリースするのですが、また新しい私を見せていけるような、音楽的な挑戦もどんどんしていきたいと思います。
良い曲が書けた時がこの上なく幸せなのは中学生の頃から変わらないので、まだまだ音楽的な成長を遂げていきたいです。
2/22と5/9、予定を空けていてくださると嬉しいです。
アルバムを作るにあたって、まず何年もレコーディングというものに、自分の作品を誰かと作るということに苦手意識があったのですが
そんな期間が嘘みたいに、レコーディングの日程が決まると緊張もするけどそれに向けてわくわくして日常にもメリハリがつくような感覚がありました。
今回編曲を曲ごとに色んな方にお願いしたり、楽器ごとのアレンジで携わって頂いたり、自分の音源を一緒に大切に作ってくれる人がこんなにいるんだと思ったら歌録りの最中にも胸がいっぱいになりました。
ライナーノーツでも書きましたが、今回のアルバムRECでは全てを出し切ることが出来て、自分の中でこれまでの何かが、或いは全て報われたような気がしています。
自分の意見を出すのが苦手で何年もかかってしまったけど、このアルバムを出すまでと出してからの間で色んな方と出会い、色んな人に携わって頂き感情を取り戻すための殆どリハビリのような、修行のような特別な時間を過ごさせてもらえたこと
関わってくれた関係者の方や、それに付いて来てくださった、足を運んで音楽を聴きに来てくださった皆さんにここに書き記せないぐらい感謝しています。
感情が読めなくて関わる色んな人を困らせてしまうけど、伝えられなくて私が一番困っているので、だからこそこれからもめげずに頑張って素敵な音楽を生み出していきたいです。
人の心を動かせるような音楽を作りたいって怖くて口に出せなかったような大それた願いを、叶えていくのも自分自身なので
日々健康を保ちながら、営みを続けていくのみです。
お皿洗いとかお風呂掃除とかお弁当を作って持って行くこととか、弁当箱を水で洗って持って帰ってくるとか、そういうのが人間を組み立ててくれるんだって
全部はできない時も勿論あるけれど、そういう苦痛も含めて、救いなのだと吉本ばななのあとがきに書いてあったような気がします。
お気に入りのページに折り目をつける癖があるのですが、過去最多の折り目だらけの本になってしまいました。今は人に貸していて読み返せないので寂しいです。
少し肩の荷が降りてからは、流行りの曲を片っ端から聴いて行ったりもしてます。
好みの作品を見つけると、これが流行るんだと思うと、また勇気が湧いたりもします。
影響を受けやすいので、素敵な本にいっぱい出会いたいな。
血みどろのホラーサスペンスも相変わらず好きです。
どいつもこいつも部屋着の時みたいな表情で街を歩きやがって、というのは何の作品で読んだ言葉か忘れてしまったけど、そういう人の目をも覚ませるようなときめきを生み出していけるように引き続き、精進してまいります。
p.s.
面白かったのが、ワンマン翌日は身体の至る所に目に見えてガタが来たりもしました。肌荒れもしました。
身体の不調は正露丸とロキソニンで何でも治ると思っていたのに治らなくて、原因を調べたら全部が全部ストレスばっかりでびっくりした。
精神だけはタフなのに自分の表現を思い通りに出来なかったことがこんなにもダメージになるんだなと
今は頑張ったらお米2合はいけそうなくらい元気です(頑張る必要はないですが)。
たくさん、ありがとうございました。いつも見守ってくれて、ありがとうございます。
これからもどうか、よろしくお願いします。
来年も一つ、頑張っていくよ
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