大人
悲しい時ほど曲が書ける、とバンドマンはよく言う。中途半端に曲なんか書けてしまうから、楽しみの中にも寂しさや哀しみを感じてしまうのかな、とも思う。
好きな人にさえ、ご機嫌を取るようなことは出来ない。あなたよりも私の方が優れているだなんて一度も思ったことはないけど、私よりもあなたの方が優れているとも思わないというのが本音である。先輩や後輩も関係ないよ。
何を考えてるかわからないよって言うけど、どうせ表面的なことしか見てないくせに。楽しそうにしていたら、楽しそうに見えるんだろう。私のことなんか、何もわからないくせに。いかにも十代らしい思考が、裏技として今でも備わっているのだ。
自分の機嫌を自分で取れるようになるから、大人はいつでも寂しいのだろう。
そういう生き物として、明日も六時に目が覚めて、たった二分だけの二度寝に成功してしまうのだ。本当はもっと眠りたいけど、気の済むまでそうしてもきっと、罪悪感しか残らないのが嫌だ。
ああ、また上手くやれなかった。
何だったんだよあの時間は、と思うがその事実にもう涙も出ないのは、大人という生き物であることはお互い様で、それぞれにそれぞれの責任があることを、頭でわかっているからだ。
きっとそうだ、わかっているかはわからないけど。
先輩風を吹かすのは大好き、かっこわるいおばさんにはなりたくないもの。
自分にとっての当たり前が、他人にとって必ずしもそうではないことをきちんと弁えていよう。それがきっと当たり前。
私は一足先に明日の支度を始める。
丁寧に髪を乾かしてあげる時間で、大抵の腹の虫は治まってしまう。
たった二分だけの二度寝に成功してしまうのだ、の一文、プロの小説家みたい😊
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